農地転用許可に付随 -3つの許可と基準-
目次
はじめに
皆さんこんにちは。宮城県の行政書士水越です。
農地を転用して宅地にしていくのに、農地転用許可だけで十分だと思われている方はいらっしゃいませんか?もし農地を宅地にしたい場合、農地転用許可だけでは最終的な目標に辿り着けることが出来ません。
「農地転用する上で、他にすべき申請が分からない…」とお考えの方!農地転用許可以外にも必要な許可を把握しておきたいですよね。本日は、農地転用許可を申請する際に付随する許可と基準について纏めてみました!ご参考にして頂けると幸いです。
農地転用について 農地法4条5条
ではまず、農地転用についての農地法4条5条をおさらいしておきましょう。
農地法4条は、自己の農地を農地以外のものに転用する場合に許可が必要になります。自己の農地ですので、権利移動や権利設定はありません。市街化区域内に農地がある場合は届出で足ります。
農地法5条は、他人の農地を農地以外に転用する為、自己に権利移動する場合に許可が必要になります。こちらに関しても、市街化区域内に農地がある場合は届出で足ります。
上記のように、農地法の許可や届出に関しましては、あくまでも「農地を転用して良い」というものです。そこから先の開発行為に関する許可は別でとる必要があります。では具体的にどのような許可を取れば良いのでしょうか。以下の3つの許可と基準を解説致します。
① 都市計画法29条(開発許可)
開発行為を行う場合、こちらの都市計画法29条の許可を取らなければなりません。開発行為とは建築物を新築したり、ゴルフコースやテニスコートなどを作る為に土地の区画形質を変更することです。土地の区画形質を変更するというのは具体的に言うと、盛土をしたり、宅地以外の土地を宅地にしたりすることです。
許可が必要ない場合としては、市街化区域にある1,000㎡未満の土地や非線引き区域・準都市計画区域にある3,000㎡未満の土地、10,000㎡未満の野球場や遊園地といった施設などが挙げられます。また、博物館や図書館などの公益上必要となる施設も許可は必要ありません。
② 都市計画法34条(開発許可の基準)
市街化調整区域で開発許可を行う場合、こちらの都市計画法34条の許可基準を参考にします。基準としては周辺を市街化してしまう恐れがないこと、市街化区域内で行うことが困難な開発行為として予定建築物に限りを定めることなどが挙げられます。市街化調整区域は、市街化を抑制する区域です。市街化調整区域での開発行為は原則行ってはいけませんし、行う場合は例外を除き面積等関係なく許可が必要になります。
③ 都市計画法43条(建築許可)
市街化調整区域で建築行為を行う場合、こちらの都市計画法43条許可を取らなければなりません。具体的には、市街化調整区域内で開発許可を受けた開発区域以外の土地で、開発行為を伴わない新築や増改築を行う場合に必要な許可になります。市街化調整区域は、建築行為に関しても厳しく制限がなされているということです。
許可が必要ない場合としては、農林漁業用の施設や住宅、博物館や図書館などといった公益上必要な施設の建築などが挙げられます。
まとめ
以上が、農地転用以外に必要な許可や基準についてでした。農地法と市街化区域、市街化調整区域は密接な関係になっており、状況によって必要な許可は変わってきます。今回のイメージとしては、市街化調整区域や一部許可が必要な市街化区域で開発行為がある場合は開発許可、市街化調整区域で建築行為がある場合は建築許可というイメージで良いかと思います。都市計画法29条の開発許可は、基本的に農地転用許可を取得する場合にはセットで取得する必要がありますので、要件等を把握しておくと良いでしょう。自治体によって細かな要件や書類も変わってくるかと思いますので、状況に応じて市町村役場に確認してみましょう。
今回の記事を読んで、何か分からないことやご自身で出来るか不安だという方などがいらっしゃいましたら、宮城県以外の方でも是非お気軽にご相談ください。弊事務所でしっかりサポートさせて頂きます。本記事をお読み頂き、誠にありがとうございました。