相続のカギ -2つの調査-

目次

はじめに

 皆さんこんにちは。宮城県の行政書士水越です。
 相続が発生して「遺言書が見つからなかったけれど、何から始めたらいいのだろう?」とお考えの方はいらっしゃいませんか?相続開始後、最初にすべきことを把握しておくことは非常に大切です。

「やるべきことがたくさんありそうで整理が出来ない…」とお考えの方!遺言書がない場合の相続手続きは「誰が」「何を」「どれくらい」といったことを決めるために、主に2つの調査を軸に進めていきます。本日はその2つの調査について纏めてみました!ご参考にして頂けると幸いです。

① 相続人の調査

 まずは「誰が」の部分である相続人の調査をします。被相続人(亡くなった方)の相続人は誰なのか、戸籍から正確に導くためには戸籍収集が必要になります。具体的には、被相続人の方の生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍謄本等を収集します。これにより、誰が相続人であるか、隠し子はいないかなどを正確に調査することが出来ます。
 調査方法としては、被相続人が亡くなられたときの戸籍謄本(または除籍謄本)から、生まれたときまで遡ります。被相続人の本籍地である自治体で亡くなられたときの戸籍謄本(または除籍謄本)を発行し、配偶者や子供の状況を紐解いていきます。なお、被相続人の生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍謄本等だけではなく、相続人の現在戸籍謄本も必要になります。これにより、被相続人と相続人の間で相続関係があるかどうかを照らし合わせます。万が一、相続人の中で亡くなられた方がいて代襲相続が発生している場合は、その亡くなられた相続人の生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍謄本等も必要になります。代襲相続が発生している場合は、より戸籍謄本等の枚数が多くなるので注意が必要です。
 調査が終わったら、その結果を基に相続関係説明図を作成します。こちらがあることにより、実際の相続関係を可視化することが出来、相続手続きの際にも役立ちます。

② 相続財産の調査

 次に「何を」「どれくらい」の部分である相続財産の調査をします。相続財産にはどんなものがどれくらいあるか精査し、遺産分割協議の基にする必要がある為です。具体的には、預貯金や株式、不動産、借入金などの負債も調査していきます。
 調査方法としては、預貯金は被相続人の方の通帳や残高証明書、株式は証券会社からの書類や証券保管振替機構(ほふり)での照会、不動産は固定資産税納税明細書や名寄帳などといったものから調査していきます。借入金などの負債に関しては、借用書がないか確認したり、信用情報機関への照会をしていきます。信用情報機関とは、クレジットカードやローンなどの契約内容や支払い状況といったことを開示請求出来る機関です。JICCやCICなどが代表的な機関として挙げられます。
 調査が終わったら、その結果を基に財産目録を作成します。こちらがあることで、具体的に何の財産がどれくらいあるかを可視化することが出来ます。遺産分割協議の際にも明確にしやすいので、作成することをおすすめします。

まとめ

 以上が、相続のカギとなる2つの調査についてでした。遺言書がなく、遺産分割協議が必要な場合は、相続人の調査と相続財産の調査が重要になることがお分かり頂けたかと存じます。相続が開始されると精神的のも整理がつかずに、いっぱいいっぱいになってしまうことも多いかと思います。そういったときでも、今回の2つの調査をまとめた相続関係説明図や財産目録を作成することで、「誰が」と「何を」「どれくらい」をしっかりと整理することが出来ます。この項目を固めるだけでもだいぶ気持ちの持ちようが変わってきますので安心してください。これら全てを纏めるのが遺産分割協議になるので、前段階で纏めておくと必然的にスムーズに進行します。円満円滑に相続をしていく為、被相続人の方のお気持ちを考えた上でも、段階を踏みながら相続手続きへと繋げていくことが大切なのです。
 今回の記事を読んで、何か分からないことやご自身で出来るか不安だという方がいらっしゃいましたら、宮城県以外の方でも是非お気軽にご相談ください。弊事務所でしっかりサポートさせて頂きます。本記事をお読み頂き、誠にありがとうございました。