遺言とは -3種類の遺言-

目次

はじめに

 皆さんこんにちは。宮城県の行政書士水越です。
 遺言と聞いて「そんなに急いで書く必要はないんじゃないかな?」とお考えの方はいらっしゃいませんか?いつどんなことが起こってもおかしくありませんから、備えておくことは必要です。

 「そもそもどういった種類の遺言があるのか分からないから…」とお考えの方!一口に遺言といっても書く種類によってメリット・デメリットが変わってきます。本日は3種類の遺言のポイントについて纏めてみました。ご参考にして頂けると幸いです。

遺言の基本的事項

 遺言とは、遺言者(遺言を残す人)の財産上の権利や義務を、誰にどれくらい引き継がせるかを指定するものです。遺言を残さずに遺産分割協議で分割する「協議分割」に対し、遺言の指定による分割なので「指定分割」と呼ばれます。協議分割ですと、相続人の間での揉め事が発生したり、被相続人の理想とする分割が出来ない場合があります。ご自身が亡くなってから、家族が揉めたり予期せぬ分割方法になってしまったら非常に悲しいですよね?その為の遺言なのです。遺言者は遺産を引き継がせたい人に引き継がせて、残されるご家族が円満円滑になれるような遺言を作成出来るのが最大のメリットです。また、その後の手続きが簡略化される部分も、残されたご家族が手間が掛からないのでメリットです。
 ただ、遺言を作成する上で注意しなければならないこともあります。それは遺留分です。遺留分とは、法定相続人に最低限取得出来る権利の取り分のことです。裁判所に対して申し立てをすることが出来ます。遺言の通りに遺産が分けられるとは言えども、あまりにも偏った遺言では本来引き継ぐべき法定相続人が可哀想ですよね。遺留分は、法定相続人の組み合わせによって侵害額請求出来る割合が変わってきますので、こちらも注意しながら遺言の作成をする必要があるのです。次の3種類の遺言から作成方法を選択していきましょう。

① 自分で作成!自筆証書遺言

 まず、自筆証書遺言です。こちらは、ご自身の手で遺言を書き、ご自身または法務局で保管する遺言です。添付する財産目録などは手書きでなくても構いませんが、本文は必ず手書きで作成する必要があります。
 メリットとしては、作成する上で費用が抑えられるという点や、誰にも知られずに遺言を残すことが出来る点が挙げられます。反対にデメリットとしては、ご自身で保管する場合は発見した際の検認手続きが必要になる点や、万が一法的に無効な作り方をした場合は遺言が実現されないという点が挙げられます。また、ご自身で保管する場合には改ざんや紛失のリスクもあるでしょう。確実に実現できるという保証はありませんが、費用をなるべく抑えたいという方向けの遺言です。

② 確実に実現!公正証書遺言

 次に、公正証書遺言です。こちらは、ご自身で原案を決め、公証役場で公証人の方に作成・保管をしてもらう遺言です。公証役場とのやり取りを行った上で、ご自身の遺言を実現することが出来ます。
 メリットとしては、公証人の方に作成してもらうので、検認手続きの必要がない上に法的に有効な遺言を確実に実現出来るという点です。また、公証役場で保管されるので改ざんや紛失のリスクがないという点です。反対にデメリットとしては、公証役場に支払う手数料が掛かるという点や、作成の際に親族以外の証人2人が必要になるという点が挙げられます。費用が掛かっても良いので、確実に遺言を残して実現させたいという考えの方向けの遺言です。

③ 誰にも知られずに!秘密証書遺言

 最後に、秘密証書遺言です。こちらは、誰にも知られずに遺言を残したい場合に使われる遺言です。
 メリットとしては、遺言の内容を誰にも知られることなく残すことが出来る点です。反対にデメリットとしては、作成方式の不備により法的に無効な遺言となる場合がある点や、ご自身で保管するので改ざんや紛失のリスクがある点などが挙げられます。また公証役場で作成する為、費用が掛かる点も挙げられます。確実に実現出来るという保証はなく、費用も掛かりますが、誰にも知られずに遺言を残したいという方向けの遺言です。

まとめ

 以上が、3種類の遺言についてでした。それぞれメリット・デメリットがあり、特徴も違います。ご自身の状況やご希望に応じて作成方法を選択して頂けたらと存じます。遺言を残す上で、どういった目的があるかが非常に重要になりますので、考えをまとめておくと良いでしょう。
 今回の記事を読んで、何か分からないことやご自身で出来るか不安だという方などがいらっしゃいましたら、宮城県以外の方でも是非お気軽にご相談ください。弊事務所でしっかりサポートさせて頂きます。本記事をお読み頂き、誠にありがとうございました。