遺産分割の参考に -2つの書類-

目次

はじめに

 皆さんこんにちは。宮城県の行政書士水越です。
 相続発生後に「相続人の調査や相続財産の調査を行ったものの、どのように纏めたらいいのだろう?」とお考えの方はいらっしゃいませんか?「誰が」「何を」の部分は、遺産分割協議を行う際に整理されていることが大切です。

「項目がたくさんあって整理出来ないのでは…」とお考えの方!
遺産分割協議書を作成するに至るまでは、しっかりと「誰が」「何を」といったことを「相続関係説明図」と「相続財産目録」に纏めておくことで把握しやすくなります。本日はその2つの書類について纏めてみました。ご参考にして頂けると幸いです。

① 相続関係説明図

 「誰が」の部分である相続人の調査をした後に、被相続人と相続人の関係を表したものが「相続関係説明図」です。皆様に馴染みのある「家系図」のようなもので、こちらを作成することにより、頭の中にイメージしたものではなくしっかりとした図で相続関係を把握することが出来ます。

(図1)相続人が配偶者・子

(図2)相続人が配偶者・両親

(図3)相続人が配偶者・兄弟姉妹

 相続関係説明図が求められる場面としては、相続税の申告や遺産分割調停の申し立てのときが挙げられます。また、場合によっては預貯金や不動産の名義変更手続きの際にも添付を求めれられることがあります。
 作成の方法としては、エクセルで作成していくのが良いでしょう。婚姻関係は二重線で繋ぎます。参考程度ではありますが、例を挙げさせて頂きます。第一順位である子(亡くなっている場合は孫)が相続人の場合は、被相続人を説明図の上部に記入し、そこから下に子(亡くなっている場合は孫)を記入していきます(図1)。子や孫がおらず、第二順位である両親(亡くなっている場合は祖父母)が相続人の場合は、被相続人を下部に記入し、そこから上に両親(亡くなっている場合は祖父母)を記入していきます(図2)。第三順位の兄弟姉妹が相続人の場合は、並べて記入すると分かりやすいでしょう(図3)。被相続人に関しては、氏名・最後の住所・最後の本籍地・死亡年月日を記入します。相続人に関しては、氏名・住所・生年月日・被相続人との続柄・死亡している人の場合は死亡年月日を記入します。

② 相続財産目録

 「何を」の部分である相続財産の調査をした後に、相続財産の一覧と詳細を纏めたものが「相続財産目録」です。こちらを作成することにより、被相続人の財産や負債はどのようなものがあり、どれくらいあるのかを把握することが出来ます。

(図4)相続財産目録


 相続財産目録は必ずしも作成しなければならいないものではありません。しかし、作成しないことで財産や負債を整理しきれず相続税申告が必要か分からなかったり、相続人全員が財産や負債を把握しきれず揉めてしまうデメリットがあります。このようなデメリットを発生させない為にも、相続財産目録は作成しておいた方が良いでしょう。
 作成方法としては、以下のような流れで各項目ごとに詳細を記入して纏めていきます。

① プラスの財産とマイナスの財産で分ける。

② プラスの財産がどのような項目があるか、不動産や預貯金、有価証券などの詳細、その評価額や残高と共に記載する。預貯金の場合は金融機関の支店名や口座番号など、不動産の場合は土地の所在・地番・地目・地積、建物の所在・家屋番号・種類・構造・床面積などです。有価証券の場合は金融機関・支店名・銘柄・株数などです。

③ マイナスの財産がどのような項目があるか記載する。クレジットカードの債務やローンなどがないかを調査した結果を記載していきましょう。

 おおまかに上記のような流れで作成し、遺産分割協議の参考にしていきます。ちなみに、遺言書に添付する財産目録は少し異なる部分があります。

まとめ

 以上が、遺産分割の際の参考となる2つの書類についてでした。必ずしも全員作成が必要というわけではありませんが、相続税の申告、遺産分割調停の申し立てがある場合は作成しなければなりませんし、名義変更手続きの際にも必要になる場合があります。また、それ以外の方も相続人と遺産の詳細を一覧で把握出来るので、遺産分割をスムーズに進めることが出来ます。円満円滑な相続をしていく為にも作成を検討してみてはいかがでしょうか。
 今回の記事を読んで、何か分からないことやご自身で手続きが出来るか不安だという方などがいらっしゃいましたら、宮城県以外の方でも是非お気軽にご相談ください。弊事務所でしっかりサポートさせて頂きます。本記事をお読み頂き、誠にありがとうございました。